みけの ごうがいやさん
あかとらが、みけに であって、
「その くびに つけた、ぴかぴかする ものは なんですか。」
と ききました。
「うちの ぼっちゃんが、つけて くれた すずです。」
と、みけが こたえました。
「どれ、あるいて ごらんなさい。」
みけが あるくと、カラカラ カラと すずが なりました。
「あっはは、ごうがいやさんみたいだ。」
と、あかとらが わらいました。
みけは はずかしく なりました。
「なんで こんな ものを、つけたのかなあ。」
みけは かんがえながら おうちへ かえると、ちょうど ねずみが、まどの 上へ ちょろちょろと のぼりました。
これを みつけた みけは 目を まるく しました。
ねずみは といを つたって、えだに ついた 赤い かきを たべに きたのです。
「わるい やつだ。」
みけは へいに のぼりました。カラカラ カラと すずが なりました。
りこうな ねずみは、ねこの きたのを しると、かくれて しまいました。
みけは、ざんねんで たまりません。夜まで、じっと まどの 上で、ねずみの でるのを まって いました。
コロコロ コロと、あちらで すずの 音が します。
「おや、だれだろう。」
と、みけは 月の ひかりで みますと、ねずみが きりの 木へ のぼり、みを ゆすって、ねこを からかったのです。
みけは あかとらの うちへ いきました。
「あかとらさん、ねずみが ばかに するから、どうぞ この すずを とって ください。」
と たのみました。
あかとらは そうだろうと いわぬばかりに、
「ニャオ。」
と いって、みけの くびから すずを とって やりました。
青空文庫より引用